SF Japan掲載の小川一水「静寂に満ちていく潮」読了。

 なんというハードSFエロス(「ハード」は「SF」にかかる)。あらすじとしては異性人とのファーストコンタクトものなんだけど、ソノ場景から始まって未来世界の描写をしつつ、ファーストコンタクトのもどかしさを描いてソノ情景で終わる組み立て方に驚愕する自分は単純に読書量が足りてないだけなのか・・・?。

 今回は説明っぽいセリフがすべてコンタクト対象の異性人に向けられてのもので不自然さは特に感じなかったので、もうちょっと作中世界の成り立ちとか言葉についても説明があったら面白そう。

 たとえば主人公のテミスは100年だかそこら以上生きていることを匂わすシーンがあるのだけれど、単純に彼(彼女)がどんな人生を送ってきたのかとか、イマドキの視点で見ればかなり勝手で自由気ままな人間個体が増えているような社会だけど、それでも軍とかそういった「組織」が成り立つのは、みたいなあたり。長編とかシリーズものの基礎になるような雰囲気の内容だと思った。