なんだかあっという間とは行かないまでも、ああああっという間ぐらいに一年が終わった
気がします。特に年末の一週間は忘年会とかお台場マンガ祭りとかでそれこそ光陰矢の如し
でした。クリスマスはもちろん暇でしたが。
 マンガ祭りもといコミケでは西館の方しか行かなかったのですが、ジャンク・ヤード出版局の
Progressive27http://www.junkyard.jp/progressive/progressive27/小川一水が載せた短編
「Live me Me.」はよかったです(と言うか、これが最大のお目当て)。ものすごい乱暴なことを
言うなら、ティプトリーの「接続された女」とイーガンの「ぼくになることを」を足して二で
割った感じでしょうか。雰囲気が似てる、ぐらいに思ってください。


*あらすじ有り、ネタがばれます*


 あらすじは無線LANにより遠隔操作される義体(シンセット)が浸み出すように普及しだした
近未来、完全な脳死一歩手前の「私」は大型演算機に支援された義体系への全転換により、法的には
完全に「死亡」することで新たな体を手にした。「私」はたった一つの命を捨てて、生まれ変わった
不死身の体、鉄の悪魔を叩いて砕いたりはしないのですが、生と死の境界上に存在することに
なったその身に待ち受ける運命とは――?と言う感じです。


 短編なので、ちょっと締まりのないあらすじを書くとすぐネタばれになってしまいますね。
でもこの話で凄いのは話が積み上げられていく感じというか、現実(リアル)の世界から、義体
法律を先行逃げ切りで置いていって普及していくさまをこつこつ描いていってSFに到達する
過程です。普段通りなれた道から少しづつ離れていって、いつの間にか知らないところに着いて
しまう感というか、読んでいてぞくぞくします。気の早いお年玉をもらったみたいなうれしさ
です。夏のマンガ祭りもといコミケ(しつこい)でも多分売り出されると思いますので、
お持ちでない方は待て、しかして希望せよ!(年の終わり&始まりがこれでは個人的に先が思い
やられます)


 ちなみに、同じくProgressiveの新刊「眼鏡っ娘二重奏ト短調」もよかったです。夏には続刊が
出るのでしょうか?こんな感じで今年も一年間がんばっていくので誰にと言うわけでもないですが
どうぞよろしくお願いします。