冲方丁スプライトシュピーゲル・オレインシュピーゲルが楽しい。主要キャラクター達のこれでもかという程の過剰なキャラ立てと、「理屈とガムはどこにでもくっつく」を地で行く無茶気味な舞台設定が全部混ざりあってステキな物語に。
 機械化された者達の異能力バトルが好きな人は…って、まあ要するにマルドゥックが面白かった方は軽めながらも同じ毛色ということで楽しめるはず。

 通ぶった鼻もちならないことを言うと、別々の出版社の雑誌に同じ背景を持つ物語を連載するというこの「シュピーゲルプロジェクト」は、ヴェロシティとスクランブルで、

・その長さ故に出版社が敬遠(ヴェロシティ)
・短期集中出版
・上中下巻構成
・スカッとするタイプの話ではない

という、高密度だけれど作者自身に非常な負担のかかる物語作りをした冲方丁が、アニメとか漫画の原作をやりつつ、同じ密度の物語を量産(悪い意味でなく)するための冴えたやり方なのかも、と思った。耳から変な汁が出るくらい大変、とはあとがきに書いてあったけれど。
 まあ次の巻が超楽しみです、ぐらいに読んどいてください。