「秒速5センチメートル」を見てくる。ネタばれってほどのものでもないんですけど、一応隠します。



 見終わったあと、ものすごい喪失感の漂う映画。命の終わりも記憶喪失も時間ループもナシにこれだけの喪失感を伝えるのはすごい。新海誠のあの美しい風景すら喪失感を一層際立たせていたような。一言付け加えておくと、風景は本当に鳥肌モノの美しさです。特にH-IIロケットが上昇していくにしたがって、噴射煙の作る影もスーッと伸びていくシーンは本当に感動する。


 自分は男子校出身者なので作中の(特に2作目の)大部分は甘酸っぱい青春フィクション(SF)として受け止められたのだけれど、共学だった人はそのシーンからより強い喪失感を味わうんじゃなかろうか。「ほしのこえ」にしろ「雲の向こう、約束の場所」にしろ、大団円的な終わり方ではなくて断絶とか喪失を描いた形のまま終わるので、実は新海誠の作品は鬱分が強い(ダウン系な)んじゃないかと思った。あとべつに色恋沙汰は一切(ほぼ)無い人間でも、その断絶とか喪失とかを味わえているのはなんでだろう?