グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

 何がすごいかって、五感その他を刺激しっぱなしの500ページ近くあるこの文庫本が、雪風でたとえれば「フェアリイ・冬」だってところ。この話で様々に散りばめられた謎とかキーワードがこの先どう収束するか、気になる人は同時発売(ぐらい)の続編(ハードカバー)を買ってね、というハヤカワさんの戦略に引っかかりたい。

 あと、5日にもう頒布されていたasta*も今日中に読んでしまう。なにしろこれからマルドゥック・ヴェロシティですので。
 小川一水の「妙なる技の乙女たち」は、舞台設定は前回と同じくシンガポール沖のメガフロート(軌道エレベータ基地)「リンガ」だけれど、主人公は別の人。帆船の操作には(にも)詳しくないんですが、小船の疾走感とピンチ感の伝わる内容。メガフロートの描写とか社会描写とか、フツーにSFマガジンにも載ってそうなSF具合で、これが毎月読めるんだからうれしい。
 電車内ではとてもじゃないけど読めなかったのが森見登美彦の「恋文の技術」と、exciteで一時期連載されてた「ベストセラーゲーム化会議」が装いも同じく復活した「恋愛小説 ふいんき語り」。前者の「四畳半神話体系」はずっと気になっていたのだけれど、これを機に買ってみようかと思った。後者はいつも通りのことをいつも通りにやってて面白いので、ノーコメントで。